ニューバランスのゴアテックス・トレランシューズMT620レビュー

膝の治療が進んで、そろそろ舗装路であれば山も登ってOKということになった。山頂まで舗装された道路で行ける山といえば、奥多摩なら高尾山1号路と御岳山を思いつく。

昨年のハセツネで長年使ったアディダスのトレランシューズはソールが壊れてしまったので、山用シューズをニューバランスで新調してみた。防水GORE-TEX製なのに、アマゾンのセールで1万円以下という、信じられない低価格で購入できた。

KEENのブーツは引退

これまで山に登る靴は、KEENのトレッキングシューズと、adizero XTシリーズを使い分けていた。キーンのブーツは現行モデルでいうとピレニーズに相当する。2万円強で独自防水機能のKEEN.DRYが付き、革製でクラシックな外観が気に入っていた。出先で「それどこのメーカー?」と聞かれることもあったくらいだ。

足首までホールドしてくれるので、ローカットのシューズより安定感はあるが、その代り重さがこたえる。たとえば富士山の大砂走を下山するときは、このくらいしっかりしたブーツでないと歯が立たない。砂の中に埋もれたがれきにつま先をぶつけて爪が黒く内出血するし、足首前面で荷重を支えないとつま先に負荷が集中して足の指先が痛くなる。

逆に言えば、富士山の下り以外はほとんど出番がなかったといえる。自分の行動範囲では、せいぜい奥多摩から丹沢の低山を歩くくらいなので、キーンのブーツだとオーバースペックに感じることが多かった。

もちろん靴は頑丈であるに越したことはないが、平地や下りでちょっと走ったりするとブーツはかさばる。結局出番が次第に減って、アディダスのトレランシューズで山登りもするようになった。ソールのグリップが効いて、つま先補強されたトレランシューズなら、奥多摩・丹沢くらいは十分登れると思った。

ほぼ1年出番がなかったキーンのピレニーズは、家を片付けた際にブックオフの古着コーナーで売ってしまった。状態がいいので数千円は値段をつけてもらえたが、また本格的に登山することになったら買い戻せばいいだろう。そんな感じで、しばらく使っていたダンロップのソロ用テントもリサイクルショップに売ってしまった。

アシックスのゲルフジが見つからない

トレランシューズの新規購入ということで、メジャーブランドのサロモンやモントレイルから探してみた。モントレイルはいつの間にかコロンビアのロゴも併記されるスタイルになったようで、何だかいまいちな印象だ。

個人的にはコロンビアの登山ウェアはしっかりしていて、特にパンツは愛用して何着か保有しているくらいだ。しかし、本格的に登山している人からすると、コロンビアはカジュアルウェアの印象が強く、ミーハーなブランドと思われている。モンベルと同じくらいの位置づけではなかろうか。

モントレイルは「マウンテンマゾヒスト」なんてすばらしいネーミングで製品を出してくれる尖ったブランドで、購入はしていないがリスペクトしていた。コロンビアとのダブルネームになってしまうと、「野外フェス向け」みたいなチャラいイメージになってしまうのが残念だ。

サロモンもトレランシューズのシェアは大きそうだが、ショップでは1万円以上のモデルしかない。アシックスにもゲルフジというトレランシューズがあり、さすがマラソンランナーに人気の国内ブランドとあって山のレースでもよく見かける。

しかし街中のアウトドアショップでは、ほとんど「ゲルフジ」というか、アシックス自体の取り扱いがないのが難点だ。トレランシューズはランニング用とより要求される性能がシビアなので、できれば試し履きして選びたい。

トレラン界の伏兵、ニューバランス

何気なくネットで探していたら、トレランシューズのイメージがまったく湧かないニューバランスの製品がアマゾンで安く出ていた。MT620というモデルだが、ニューバランスは製品名が英数字なので覚えにくい。

驚くべきはそのコストパフォーマンスで、KEEN.DRYのような独自機能でない真正GORE-TEXが入っていながら、1万円を切るセール価格になっている。今は値上がりしてしまったようだが、アマゾンから税込8,694円で注文することができた。

返品前提でアマゾンからサイズ違いを取り寄せ、装着感がよかった28cmを購入した。アシックスやアディダスだと27cmを選ぶところだが、メーカー違いや製品違いでフィット感はまちまちなので、試し履きして決めるしかない。

見た目もNマークのロゴ以外、アッパーからソールまで全体的にブラックで、トレランシューズらしからぬ精悍な印象を受ける。

CUSH+と書かれた分厚いソールが仕込まれており、以前履いていたアディゼロXTより1.5倍くらいクッション性があるように感じた。ソールはトレイル向けにがっちりと溝が彫られた、k多そうなゴムが貼り付けられていて、触った感触からすると耐久性もよさそうだ。

重量はロード用のランニングシューズに比べるとかなり重く、左右でそれぞれ330~337gもあった。

しかし荒れ地を走破するトレイル用途としては、多少重くても安全性と耐久性を優先したい。

ゴアテックスの防水性を検証

ゴアテックスのシューズを履くのは、実ははじめてだ。アパレル関係も含めて、高価なゴアテックス製品は高根の花だった。試着してみて、やはり防水性の代わりに蒸れが気になるときもあった。

個人的には、レースでなければ雨の日に山に行く習慣はない。前夜の雨で路面がぬかるんでいたりして、ときどきシューズの濡れが気になるくらいだ。本格的な渡渉を経験したこともなく、せいぜい能郷白山の荒い越しで水たまりをいくつか渡ったくらいだ。

今回ゴアテックスのトレランシューズを選んだ理由としては、山で足元を濡らしたくないという目的より、普段から雨靴として活用したい理由があった。以前はエーグルの乗馬用ゴム製サイドゴアブーツを持っていて、雨の日のビジネス用に重宝していた。それも出番が減ったのでドンドンダウンで売ってしまい、代わりにトレイル兼用できる防水シューズで済ませたいと思うようになった。

ためしに雨の日にMT620で外出してみたが、ソールが分厚いので多少の水たまりならアッパー部分まで水がかからない。また、上から雨が降って濡れてくる部分も、ゴアテックスのおかげでまったく浸水はしなかった。

さすが、防水素材の代名詞として定着しているだけのことはある。むしろゴアテックスが有名すぎて、ほかの優れた防水素材がしょぼく見えてしまうのが、かわいそうなくらいだ。

ナイロンメッシュのアッパー素材よりは、さすがにシューズ内で蒸れる気がする。ゴアテックスは透湿性が売りのはずだが、「従来の雨具と比べて」という意味だろう。ウェアの内部に防水層があると、確実に蒸れは気になる。汗っかきな体質なので、雨でもないのに防水ウェアを羽織るのは気が向かない。

防風性もあり足先が冷えにくい

山の方もしばらくは高尾山~御岳山どまりだったので、舗装路での使い勝手という意味では普通のスニーカーと変わらないように思われた。しばらく治療が進んで、奥多摩の金比羅尾根を長時間歩いてみたら、ニューバランスのクッション性にずいぶん助けられた。アディゼロXTよりソールが厚い分、ガレ場の凹凸も難なく吸収して疲れがたまりにくいようだ。

ゴアテックスによる防水性の副次効果として、防風性もアップしているように思う。冬場に山に向かう際、フラットペダルに交換したロードバイクで自走したが、シューカバーなしでも足先の冷えが気にならなかった。

MT620を履いて自転車に乗れば、足先は常にふかふかのほかほかで、さらに雨が降っても濡れない安心感がある。自転車で登山口まで自走&そのままトレッキングというスタイルが最近気に入っているが、ゴアテックス層が風を遮断して冷えを防いでくれるので秋冬には助かる。かたちがごついので多少かさ張るが、ペダルを回せないというほどではない。

レース向けのスピード重視なトレランシューズより安定感があり、くるぶし丈のトレッキングシューズよりは軽くてコンパクト。さらに防水GORE-TEX入りで、雨の日の普段履きにも適する。ブラック基調の大人し目なルックスなので、街中で履いても違和感がない。

そんな絶妙なニーズを満たしてくれるのが、ニューバランスのMT620だ。また安売りしているタイミングがあれば、ぜひ人にもすすめたいトレランシューズといえる。

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