能郷白山、12月初旬に能郷谷ルートでピストン登山(積雪なし)

根尾滞在中に一度は登ってみたかった奥美濃の最高峰、能郷白山(1,617m)。ぎりぎり百名山から漏れた惜しい山(日本二百名山)だが、濃尾平野から北に見える山塊の中で一番高い山である。

周囲は豪雪地帯ということで、12月に入ってしまい山頂の積雪が心配された。前日に地元の山岳会の人に話を伺ったら、ちょうどその日に登ったメンバーから「問題ない」との情報をいただいた。2016年12月5日現在、能郷谷から山頂にいたるルートでは、まったく積雪はなかった。

能郷白山は『山と高原地図』では、北陸の白山と荒島岳のエリアにおまけという感じで追加されている。

温水峠に至る国道157号は冬季閉鎖で能郷谷ルートへ

能郷白山に登る登山道は、能郷谷ルートと温水峠ルートの2種類がある。調べた限りでは、温水峠まで車で行って山頂にショートカットする後者のルートが一般的なようだが、JATRICのウェブサイトでは、12/4から本巣市根尾大河原~温水峠が冬季閉鎖になっている。能郷~黒津~大河原まではもう少し先の12/10から閉鎖だが、どのみち温水峠まで車は通れないだろう。

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今回はそもそも車がなく自転車も先日の温水峠ヒルクライムでパンク修理中なので、距離も長くてマイナーなそうな能郷谷ルートをピストンすることにした。

http://tboy.jp/2016/11/29/nukumitoge2016/

温水峠が閉鎖される冬の間は、能郷集落から長い距離をかけて山頂を目指す能郷谷ルートが標準コースなようだ。

うすずみ温泉サイトで詳しいイラストマップ入手可

道の駅がある「うすずみ温泉」のフロントで、地元の山人連絡協議会作成の手描きマップを入手できた。後でうすずみ温泉の公式ウェブサイトを見ると、「根尾の山 登山情報」のページで高解像度のPDFファイルが公開されていた。能郷白山以外に近くの倉見山と岩岳の地図も公開されているので、事前に落としてプリントアウトしておくと役に立つと思う。

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樽見駅~黒津谷のバス停分岐

樽見駅から能郷谷の林道ゲート・登山口までは、車か自転車で行けるようだ。登山口の渡渉ポイントまではほとんど起伏もなかったので、ダートを走れるマウンテンバイクならかなり奥まで距離を稼げるだろう。能郷集落までバスが出ていそうだったが、いまいちよくわからないので、あまり考えなしに樽見駅から登山口まで歩いてみた。

途中にあった交番に登山届を提出。今日の天気予報で本巣市は最高気温17度まで上がるそうなので、冬の登山には持って来いの気候だった。根尾のあたりで午前中の気温は10度。日が差すと汗ばむくらいの陽気だった。

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空には雲が多く、山際にも低くたなびいていて、山頂の眺望はいまいちな予感。雨が降るほどではなさそうだが、山の上の方はおそらくガスの中だろう。

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根尾を歩いているとたいてい犬に吠えられるが、めずらしく後ろからとことこ着いてきて、まるで道案内してくれるかのように付き添って歩いてくれた謎の忠犬。紐は付いていないが一応首輪はしている。

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温水峠に向かう157号と分岐する「黒津口」バス停の交差点。黒川工務店がある方に左折する。

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道路情報を見ると、まだ通行止め表示にはなっていなかった。「落ちたら死ぬ」看板のゲートまで行ってみると、確かにまだ開いていた。

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能郷集落~林道入口の津高橋

交差点を過ぎたすぐ先に「猿楽」と書かれた立派な神社がある。

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能郷の能・狂言は国の重要無形民俗文化財に指定されているらしい。

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神社に「能郷」バス停があり、隣に電話ボックスを改造した登山届所がある。中に用紙とペンが置いてあるので、もし登山届を提出していなかったら、ここで書いておくとよいだろう。この先ほとんど無人地帯なので、遭難する登山客が多いのかもしれない。

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だんだん山深くなっていくが、舗装路は結構奥まで続いている。

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能郷バス停以降もまだ数軒民家があり、クラシック音楽が流れている牛舎も見かけた。最後の家のおばさんに挨拶して見送られ、寂れた林道へ向かう。家の横をサルが2匹歩いていたが、もう見慣れた日常の風景という感じだ。

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川を渡る橋の前に車が3台止めてあった。平日の月曜、自分と同じ暇な登山客もいるのかなと思ったが、今日のコースでは誰一人すれ違わなかった。農作業か林道に仕事で来ている人だろうか。

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津高橋に到着。樽見駅からここまで10km、歩いて2時間近くかかってしまった。出発も遅かったので、登山口に着くのはもう昼頃になりそうだった。

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能郷白山への登山が目的なら、ここまでのルートは車か自転車、せめてバスに乗ってくるのがよいだろう。スタート地点までに無駄に時間と体力を使ってしまった気がする。樽見駅から能郷谷まで歩いてくるのは、正直おすすめしない。

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林道から登山口までさらに歩いて3.5km

橋を渡ってから先がまだ長い。舗装されていて歩きやすいが、ゆるい坂になっていてじわじわ心拍数が上がっていく。途中のゲートで「私有地」と書いてあって戸惑ったが、立ち入り禁止とは書かれていないので、脇を抜けても特に問題なさそうだ。

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途中3か所くらい、157号を温水峠に向かう途中にあるような、洗い越しがあった。幅も広くて水量も多く、水の中に足を突っ込まないと渡れないので、ゴアテックスか何か防水のシューズを履いてきた方がよいだろう。

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自分はキーンの独自防水透湿素材KEEN.DRYのトレッキングシューズだったが、このくらいは何とか持ちこたえた。

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延々と林道を歩き続けると、途中で道が終わってコーンが2個立っていた。右手の藪に踏み跡があるので、こちらが本ルートかと思ってしばらく進んだが、どうも先ほどから左手の山肌に見えているガードレールが気になる。何となく道を間違った気がして、先ほどの三角コーンの場所まで戻ったが、やはりその下に道はなかった。地図上の渡渉ポイントはもう少し先らしい。

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しばらくダートを進むと舗装路に戻り、再び藪になり…このあたりのひと気のない川原の寂しさは、温水峠以上のものがある。水の流れる音とススキがこすれる音、ときどき鳥か何か動物の奇声がとどろき、あとは自分の足音と熊鈴だけ。一人で山を歩くのは慣れているといえ、岐阜の山奥は関東近郊とは違う、本当の大自然という感じがする。

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登山道入口~渡渉地点~序盤の急登

そうこうするうちにやっと能郷白山の登山道入口にたどり着いた。地図が書いてある看板は打ち捨てられて読めなくなっている。

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その先に噂の渡渉地点があった。昨晩雨が降っていたので水量が心配だったが、石を伝って問題なく渡れるレベルだった。

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川を渡ると、それまでのなだらかな林道とはがらりと変わって、つづら折りの急坂に突入した。尾根沿いで道は明瞭だが、ところどころロープが渡してあり両手を使って登る。

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能郷谷ルート全体を通して、ハードな岩場・鎖場というのはなかったが、序盤の急坂は息つく暇もない難所だった。神奈川県でいうと裏丹沢で最も過酷な風巻尾根~袖平山の急登に匹敵するレベル。北丹沢12時間耐久レースの最難関ポイントだ。

http://tboy.jp/2016/06/27/kitatan_training/

後からヤマレコの標高図を見ると、登山口から前山まで2km強の区間で800mも登らされていた。袖平山が水平距離3.3kmで900mだから、それより急だったらしい。恐るべし岐阜の能郷白山。

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能郷谷コースは長いが、前山まで登りがほぼクライマックスで、後は尾根沿いにのんびり能郷白山まで下って上り返すだけである。

コース途中6か所ほど、入口~山頂までの距離表示があった。マイナーそうな能郷谷ルートで道案内があるとは期待していなかったが、意外と親切で助かった。

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最初の道標のところで少し傾斜が緩くなったので、昼食に玄米おにぎりをほうばる。この時点ですでに午後1時。

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2番目の登山道入り口から前山まで

すぐにまた急坂が始まり、真冬なのに汗を垂らしながら登り切ると、不思議なところにガードレールがあった。その先に2つ目の登山道入り口案内表示。右手の藪に踏み跡が見えるが、地図を見ると登山道案内の裏手の坂が本コースで合っているようだ。

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いつ終わるとも知れない急勾配の坂を登っていると、小さなお地蔵さんを発見。

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うんざりする坂道だが、ふと後ろを振り返ると、根尾の集落がはるか遠くに見渡せた。あっという間にここまで標高を稼いでいたらしい。

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そこから先、少し道がなだらかになって、2番目の道標。また山頂まで3.6kmもあるが、入口からの1.2kmですでにかなりの高度は稼げている。

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ここまで来ると、まわりの山々より高い標高で絶景を拝める。改めて本巣市~揖斐川町のエリアを見合わすと、本当に山ばかりだ。南西にはもっと高い山が見えるが、目的地の能郷白山はそれ以上なのだろう。

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ようやく前山の山頂が視界に入ってくるあたりで勾配は一段落する。この付近の尾根は痩せ気味なので、強風時は注意。周囲は低木が茂っていて山頂には近寄れないが、のっそりとした見た目で興味を引く山だ。

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地元山岳会の登山道維持管理に感謝

登山道でところどころ、距離表示の案内板以外にも木にテープが巻いてあったり、小さいタグが付いていたりする。自分以外、誰にも会わない寂れた登山道かと思いきや、地元の山岳会の方が手入れをされている痕跡がいたるところにあった。

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前山付近は笹が茂っているが、登山道の脇は丁寧に刈り取られていて非常に歩きやすい。これだけ山奥で人通りも少ないので、登山道もかなり荒廃していそうな予感がしていたが、正直ここまでメンテナンスされているとは知らなかった。ボランティアで登山道を維持されている有志の方に感謝したい。

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前山から能郷白山、山頂へのアプローチ

前山はヤマレコによると標高1,505m。ここから約2.5kmかけて標高1,617mの能郷白山まで、稜線をいったん下って登り返すかたちになる。何となく、神奈川県の百名山、丹沢山(1,567m)から最高峰の蛭ヶ岳(1,672m)まで、丹沢主稜縦走を思い出すようなアプローチだ。ちょうど標高も山深さも同じくらい。

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5番目のチェックポイントで山頂まで500m。稜線沿いの道も下草が刈られていて歩きやすい。周囲は強風で轟音とどろいていてが、笹に守られて体感的にはさほどきつくなかった。

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霧の合間から山頂にぽつんと立つ山小屋のような建物が見える。後ほど辿りついてわかったのは、人が入れる施設ではなく神社の奥宮だった。最後の上り返しで徐々に視界が悪くなっていき、完全にガスの中に入ってしまった。

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能郷白山、山頂には奥宮と三角点2つのピークあり

山頂付近で道が二股に分かれる。直進すれば奥宮、右に曲がれば三角点だった。大した距離ではないので、能郷白山に登頂したらぜひ両方見落とさないようにしてほしい。

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奥宮は簡素な木造の小屋だが、よくこんな吹きさらしの山頂で持ちこたえているものだと思う。

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近くに「天狗の遊び木」と札がかけられた木があった。

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低く茂った枝が、長年の風雪に耐え忍んできた貫録を感じさせる。

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先ほどの分岐点に戻って今度は三角点の方に行ってみる。

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2つ通過してきた登山道入り口の標識は倒れかかっていたが、山頂にある標高が書かれた杭は本巣山人連絡協議会が平成28年5月28日に建立されたようで、真新しかった。

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その横には昭和49年と書かれた古い杭もあり。

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そして地面に一等三角点。ウィキペディアによると、一等三角点が設置されている山から選定された百名山があるらしく、能郷白山はその中にリストアップされていた。

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おすすめ補給食「ういろう」と「す甘」の製法の違い

山頂でしばし休憩して、ういろうチャージ。最近レースや登山中の補給食として、米粉が主成分で羊羹ほど甘くない「ういろう」や「す甘」が気に入っている。

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東海地方に来ると、このくらいのサイズのういろうが、スーパーで一棹180円くらいで売られている。お土産用の一口ういろうは個包装で食べやすいが、一瞬で食べきってしまうので、棹で買った方がリーズナブルだ。4種類くらい味があり、今回はパワーが出そうな黒糖味を選んで持ってきた。携帯しやすい一口ういろうは東京ではなかなか手に入りにくいが、アマゾンの通販で売られている。

「す甘」と「ういろう」の原料はほぼ同じようだが、す甘は蒸して搗く代わりに、ういろうは箱に流して固めて蒸すという製法の違いがある。そのためか、す甘の方がもちもち感があって個人的には好みだ。

下山中、両足が痛くなりピンチ

山頂は冷えて霧の中で雪交じりのみぞれが降ってきたので15時の時点で退散。下りながら、両足の太もも前面に違和感があると思ったら、すぐに激痛に変わった。強烈な急性の筋肉痛というか、緩慢に攣っているような現象で、力を入れたり曲げると激しく痛む。登りは問題なかったが、下りではもろに太ももに衝撃が加わってかなりつらい。

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実はここ何年も悩まされている持病で、長期の出張や乗り物に長く座っていると発症するのだが、登山中に出たのは初めてだ。栃木の大田原マラソンを走ってからまだ13日、岐阜に来てから自転車やランニングではしゃぎまわっていたので、疲れが溜まっていたのかもしれない。1週間、風呂も湯船に入らずシャワーだけだったのも原因かと思う。

経験上、休んでいて回復する痛みではないので、このままがんばって下山するしかない。実は前山に登り切ったあたりから兆候が出ていて引き返えすことも考えたのだが、仕事のロケハンも兼ねていたので強行することにした。ひと気のない登山道の単独行だったので、ケガや体調不良で行動不能になる危険を甘く見ていた。

念のためライトは持参していて、上着も食料もふんだんにあるが、ビバークの準備としてはサバイバルシートすら持ってきていない。今回の出張レジャーは自転車メインで登山はおまけのつもりだったので、トレッキングシューズ程度の山登り装備しかなく、雨具もヘッドライトも東京に置いてきてしまった。いろいろ反省しながら、下山に時間がかかって日は暮れるとしても、ライトのバッテリーが持つうちに集落まで戻ろうと思って先を急いだ。

下りでは歩くたびに太ももの前の方に激痛が走って悶絶。痛みをこらえてストレッチで伸ばしても改善しない。10歩くらい歩いては立ち止まって休むというのを繰り返しながら、通常の2倍くらい時間がかかって山頂を下り始めた。

前山からの下りは根尾集落と徳山ダムを望む絶景

能郷白山の山頂は始終ガスに包まれていたので、前山につながる稜線上の鞍部の方が眺めがよかった。徐々に雲が増えてきたが、南に根尾の谷と徳山ダムが一望できる。北は温水峠にいたる国道157号沿いの川原が結構近くに見える。温水峠ルートなら、山頂までもっと簡単にアプローチできるのだろう。

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下りは足が痛むが、上りはまったく問題ない。このまま永遠に上りが続いてほしいと思いつつ前山に戻る。

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前山から稜線を下るところが、能郷谷ルートで一番見どころかと思う。行きは後ろを振り返る余裕がなかったが、下りではまるでそのまま谷まで飛んでいけそうな、遮るものもない絶景である。鳥取大山のような眺めだ。左は根尾の集落、右手に反射して見える水面が巨大な徳山ダムである。

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脚の痛みに耐えつつ序盤の激坂を下る

そこから先、沢までの下りは地獄だった。登りの急坂を一気に下るわけなので、並大抵の量力ではない。登山道の序盤と終盤の勾配がきついというのが能郷谷ルートの特徴だ。12月初旬の曇り空、稜線沿いで眺望は開けているが、17時を過ぎるとさすがに暗くなってきた。行きで見かけたお地蔵さんに無事に帰れるようお祈りする。

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10月のハセツネに向けて夜に山を走る訓練はしていたが、好き好んで夜中に登山したいわけはない。下りの足元が見えにくく、落ち葉に埋もれた浮石でバランスを崩したり、散々な目に遭った。一本道で迷うことがないのがせめてもの救いである。

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残照で視界が効くうちに、なんとか2番目の登山道入り口を通過。

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その後さすがにライト点灯。まだ最初の登山口、渡渉ポイントまでは1kmくらいありそうだ。

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標高を下げるにつれて気温も上がってきたので、さほど寒さを感じず風も弱かったので助かった。痛みをこらえて急勾配を下るうちに、冷や汗か脂汗が額ににじんできたが、万が一転落したときに頭部への衝撃を少しでもやわらげられるよう、ニットキャップは脱げない。

ハンドライトで急坂の上り下りは不利

これまでの登山体験で一番苦痛な1時間を耐えきって、やっと最初の案内板に到着。登山口まで残り500m。

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ここからもロープが渡された難所が続く。写真ではわかりにくいが、かなりの急勾配を下っている。ヘッドライトでなく手持ちライトだったので、片手がふさがれてしまい、ますます降りにくかった。油断するとブレーキが効かなくなって転げ落ちてしまいそうなので、なるべく姿勢を低くして、尻を着きながら下る。

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夜間の下りでロープがあったのは本当に助かった。少しずつ水の流れる音が聞こえてきて、18時頃やっと川べりに到着。

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水量は変わりないが、転ばないよう慎重に足を運ぶ。1個だけ不安定な石があったので、足場にする際は気を付けてほしい。

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川を渡ると1番目の登山口に到着。ここから先、集落まで数キロあるが、起伏はなだらかなので何とかなると思って一安心した。

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登山口~林道ゲート、不明瞭な分岐と洗い越しに注意

藪の中をライト片手に一人で歩いていると、時々サルか何かの動物が茂みでガサゴソ動いでびっくりする。舗装路を歩きつつ、路面に石が並んでいるのを見て思わず立ち止まったら、その先の道は川に落ち込んでいた。最低限の目印があって難を逃れたが、登山口に至るまでの林道にわかりにくい分岐が2か所くらいあるので、何か目印があったほうがよいと思った。まあこんな夜更けに歩かなければ迷うこともないのだろうが。

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林道の途中3か所ほどある洗い越し。登山口の渡渉より、こちらの方が足を濡らしやすい。普通に突っ切るとくるぶしあたりまで水没するので、道の両脇の少しでも足場がある方を慎重に選んで渡る。

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林道ゲートに到着したところで、やっとドコモの電波が届いた。予定より大幅に遅れてしまったので、知人から安否確認のメールが届いていた。申し訳ないと思いつつも、車で迎えに来てもらい、津高橋のあたりで合流。

nogohakusan64樽見駅まであるけばさらに2時間かかる距離だったので、送ってもらって助かった。帰りは道の駅うすずみ温泉に寄るつもりで着替えを持ってきたが、そもそも月曜は休館とのことだった。

晴れでも雨具、日帰りでもヘッドライトは必携

自分の体調管理が不十分で計画が狂ったが、そもそも不慣れな場所なのでグループで登山するとか、常にヘッドライトを持参すべきだったとか、反省点が多い登山だった。辰野勇が「晴天でも雨具を持ち歩き、日帰りの登山にもヘッドランプを必ずザックに忍ばせている」と言っている意味が身に染みてわかった。

Fitbit Charge2の歩数記録によると、この日は47km歩いて58,263歩。購入以来の最高記録を達成した。

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もし山頂が晴れていれば能郷白山からの眺望は素晴らしいはず。能郷谷ルートは予想以上の「健脚向き」だったので、初めての方には温暖な時期に温水峠ルートからの登頂をおすすめする。

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