大田原マラソン2016報告2:自己ベスト更新で初サブスリー達成

初参加の大田原マラソン2016本番。イーブンペースで走れず試合運びは微妙な感じだったが、結果としては目標通り3時間を切ってゴールすることができた。2005年に荒川市民マラソンに初挑戦、5時間で完走してから、故障で休んでいた時期を含めて11年、地道に練習を続けてようやくサブスリーに手が届いた。

リザルトは以下の通り。

  • ネットタイム:2時間57分25秒
  • ラップタイム:
    • 5km 20:08
    • 10km 19:12
    • 15km 19:16
    • 20km 19:48
    • 25km 20:01
    • 30km 21:52
    • 35km 22:36
    • 40km 23:27

(レース準備については以下に)

http://tboy.jp/2016/11/23/ohtawara_preparation/

序盤戦、先頭Aグループはほとんど渋滞なし

残り時間は少しでも体を温めようと、その場で足踏みしたりストレッチしたり、もぞもぞやっていた。10時にやっとスタートして、Aグループの最後尾でもすぐにゲートを通過できた。ゴール後に完走証で確認すると、グロスとネットのタイム差は10秒とごくわずかだった。

陸上競技場のトラックを2/3周して公道に出る。Aグループは序盤から速いペースで、いつものように側道に外れて前の人を追い抜いたり、後ろから蹴られたりといようなバトルはなかった。とりあえず「キロ4分ジャストかな」と思われるハイペースで集団が動いていたので、落ち着いて付いていった。序盤はテンションが上がってもっと飛ばせそうな気もしたが、これ以上ペースを上げて終盤まで保つ自信はない。

美原公園の西側に出ると、予想通りの追い風になったので、無理しない程度にスピードを上げていった。途中でミズノランニングクラブの3時間ペース・セッターに追いつき、この集団に付いていくのもありかなと考えたが、追い風を利用してもう少しペースは上げられそうだったのでパスして先に進んだ。

前半は追い風で5km19分前半ペースで爆走

実取の交差点を左折してライスラインに入ると、さらに追い風が強まった。自転車ほどではなくてもランニングで風の影響は大きい。まるで羽根の生えた真波君のように、軽々とストライドを伸ばせる気がした。前半は若干の下り坂でもあり、着地の衝撃で足への負担も増すように思ったが、後のことは気にしないで気持ち速めのペースで駆け下りた。

10km、15kmのチェックポイントは19分台前半のラップタイムで通過。サブスリーに必要な最低ペースは1km4分15秒、5kmで21分15秒。2年前の板橋Cityでは序盤の追い風で20kmまで19分台のラップを叩きながら、終盤24~28分まで減速して玉砕した苦い経験がある。5kmごとに2分くらい貯金できているな、と手ごたえを感じつつも、まったく安心できる気がしなかった。

前半の風景は「ライスライン(米街道?)」と呼ばれるだけあって、一面に水田が広がっていた。前のランナーと走行フォームを意識していて、ほとんど風景を見る余裕がなかったが、ところどころ佐渡のトライアスロン、田園の中を走るランパートを思い出すようなのどかな景色だった。

「JAなすの花園倉庫」を右折して、いったん箒川を渡るところで局所的に大きな下りと上りが連続する。福原小を左折するまでの上り区間で心拍が上がって焦ったが、後半はこれよりもっときつくなると覚悟した。まわりを走っているAグループの選手たちは、3時間ペーサーより速いだけあって、上りでも多少の向かい風でも減速せず、さすがだと思った。

もう一度、箒川を渡り直した先の折り返し地点までは、方角的にやや向かい風に変わった。それでも短い区間で、折り返し後はすぐに追い風に戻ったので、気を取り直してペースを戻す。20km地点で予定通りトップスピードのスズメバチエキスを注入。即効性はそこまで感じなかったが、ゴールまでジェル系はこれ一本で間に合ったので、それなりに効いたかと思う。逆にハチミツ成分が濃すぎて肝臓での分解に負担がかかったのか、ちょっと脇腹が痛くなった。

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中間点を超えた「JAなすの湯津上ライスセンター」(23.7km)までが追い風パラダイスだった。ここを左折してから、自分のマラソン史上最も過酷な地獄の逆風区間が始まった。

後半は予想通りの向かい風で徐々にペースダウン

佐良土小を通り過ぎて、国道294号をアンダーパスしたあたりから逆風・上り坂がきつくなってきた。25km地点から30kmまで真北に向かい、次の35km地点まで北西に進む。

向かい風でゼッケンをバタバタ言わせながら、少しでも風の抵抗を弱めようと、前の人の後ろに回り込もうとする。自転車で集団走行のメリットは理解しているが、どうもランニングではそこまでのスリップストリーム効果は期待できないようだ。市民マラソンでは、集団の先頭をローテーションするようなカルチャーもないので、前の人が疲れて減速したら追い抜き、自分のペースが下がってきたらまた追い抜かれるという繰り返しだった。

前の方にいる大集団に追い付きたいが、単独走でキャッチアップする元気がない。風よけ効果は弱くても、隣にいる人と2~3人の隊列を組んだ方がまだましだとか、ロードレースのような駆け引きを思い描きつつ、なるべくペースを落とさないように走っていった。逆風の呪文、「浪速のスピードマンは風と友達やねん」と鳴子章吉の名ゼリフを唱えてみても、気休めにすらならない。

28km地点で預けておいたスペシャルドリンクを入手。ゼッケン順に10個くらいのグループに分けてテーブルがセットされているので、迷うことなく自分のボトルを発見できた。今回は飾りが派手なボトルほど強風で吹き飛んでしまい、テーブルに寝かされていたので、ボトル自体に派手なテープを巻くとか工夫が必要だったと思う。

VAAMのドリンクを200ml、3口で胃に流し込んだが、補給中にそれまで並走していた集団から遅れを取ってしまった。一人で走っていると、風除けもなくどんどん距離を離されていく。この感覚は体力的にもメンタルにもだいぶマイナスだ。幸い後から追い抜いてくるランナーが絶えなかったので、チャンスがあればすぐ後ろに入って少しでも体力温存させてもらった。

2014年の板橋Cityマラソンを彷彿させる強風レース

後半、予想通りの強烈な逆風で、やはり2年前の板橋Cityマラソンを思い出した。河川敷の往復コースなので、風が強いと前後半でダイレクトにペースに響いてくる。あの時は、風をよけられるなら藁にでもすがりたい気持ちで、女子供も盾にする非道な振る舞いをしてしまったが、今回はAグループの参加者同士お互いさまという感じで、フェアに勝負できたと思う。

30km地点で左折して、道の駅で声援を受けるまでは、もう何が何だかわからないくらいきつい区間だった。真正面から冗談のように激しい風が当たってきて、顔はこわばりエイドで水も満足に呑み込めない。ラップタイムも30kmで21:52、35kmで22:36と、すでにサブスリーペースはオーバーしてしまっていて、ゴールまでどのくらいの遅れが許されるか、と1km表示ごとにタイムを逆算しながら進む、つらい行程だった。

35kmから街中に入って、やや南西に方向が変わるはずだが、それでも向かい風は終わらなかった。残り5kmの看板が出た時点で手元の時計では13時まで30分弱の余裕がり、このままキロ5分ででも走り続けられれば3時間はクリアできそうな気がした。

残り10kmは死に体でなんとかゴール

ターサージールのシューズが軽量で薄いせいか、いつものことだがマラソン終盤では脚がガチガチで思うように動かない。気力でスパートできる段階はとうに通り越して、壊れた車をだましだまし運転しながら、何とかゴールまで辿り着けないかという感じだ。太もも前後もふくらはぎも固まってピクピクし始めているので、痙攣して一発アウトという事態だけは避けたい。

道の駅を超えた保健センター前の上り下りで、前方のランナーが何人か足を抑えて止まっていた。終盤のアップダウンは相当脚にくるので、なんとか動き続けるように祈りながら、無理はせず、しかし遅すぎないぎりぎりのペースで前に進んだ。

この段階でできることは、次々頭に思い浮かぶネガティブな考えを排除して、ひたすら正しいフォームに近づけるよう、腹筋に力を入れ前傾姿勢を保つことくらいだった。あちこちの関節が固まっているので、フォームも決まらずスピードも上がらなかったが、それでも余計なことを考えて気が滅入るのを避けるくらいの効果はあったように思う。

村上春樹はウルトラマラソンのつらさを「緩めの肉挽き機をくぐり抜けている牛肉のような気分」と表現していた。タルコフスキーの映画『ストーカー』にも「肉挽き機」と呼ばれる恐怖のトンネルが出てきて、単純に「ミキサー」というより文学的な香りがする。なんとなく卓上に置けるコンパクトな家電ではなく、輪転機のように巨大な悪魔の装置を思い浮かべる。ミキサー大帝も「肉挽き将軍」とかいう名前だったら、もっと強そうだ。

そんなどうでもいいことから連想して、ダンテの『神曲』に出てくる西洋式の地獄の拷問をいくつか思い出したりした。極限状態で暗いイメージばかり頭に浮かぶのは「こんな不健康なことはもうやめにしよう」という脳の高度な自制機能かもしれないが、経験上パフォーマンスは下がるだけなので、なるべく意識しないようにした。

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40km地点を超えて最後の2km、1kmがとても長く感じたが、競技場に戻ってトラックを一周、沿道から「まだ57分台でいける」と聞いて、ここまで来たら這ってでもゴールできると思い、やっと気が楽になった。最後の逆風でいつものようにラストスパートする余裕もなく、よろよろとフィニッシュラインを通過した。

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マッサージと温泉、デカ盛り阿Qは残念ながら準備中

ゴール後はお土産のアンパン、ジュース、Tシャツをもらって、なめこ汁で暖を取らせてもらった。13時はまだ数人の待ち時間だったが、14時を過ぎると100人以上の行列ができていた。この寒さでなめこも大人気だ。

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着替えてマッサージを受けてKさんと合流。昼食はKさんおすすめの大田原名物デカ盛り店「阿Q」に向かったが、15時では準備中になっていた。店頭に掲げられている料理の写真からして、魯迅もびっくり、おそろしい盛り方の予感がした。

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空腹で待てなかったので近くの吉野家で豚鍋を食べたが、マラソンのカロリー消費がすさまじく、ぺろりと平らげてしまった。パインズホテルの温泉は、公式パンフでは混雑度高めの予想だったが、シャトルバスが出ておらず会場から2.5kmも歩いてくる人も少ないのか、昨晩と同じくらいの込み具合だった。

宇都宮餃子みんみんで栄養補給、3皿余裕で平らげる

夕食はKさんの提案で宇都宮の餃子店へ。おすすめの正嗣(まさし)はどこも水曜休業だったので、みんみんに落ち着いた。

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祝日夜で多少混んでいたのか10分ほど並んだが、税込み248円で餃子6個のコスパは高い。1人で焼・揚・水餃子を1皿ずついただいたが、それでも空腹は収まらず、余っていた補給食のす甘やコンビニのフランクフルトをほうばる始末だった。

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帰りは国道新4号を飛ばして東京へ。以前、仙台まで自走した時に自転車で走った記憶があるバイパスだが、ほとんど高速道路状態で快適に走れた。後で調べると「西の名阪国道、東の新4号」といわれるらしい。名阪国道は奈良への出張で度々運転したことがあるので、なるほど言い得て妙だと思った。

お土産の計測チップと、OHTAWARA29のTシャツ

特に利用方法を思いつかないが、大田原マラソンでは、めずらしくシューズに着ける計測チップを持ち帰ることができた。ゆるキャラの与一君がプリントされていて凝っている。源平合戦、屋島の戦いで扇を射落とした那須与一は、大田原の出身でここに一族の墓もあるらしい。

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Tシャツは地元の学生さんが担当した控えめなデザイン。一見、何だかわからないが、足の形にOHTAWARA29とプリントされていて、なかなかいいと思う。ミズノ製でつくりもしっかりしていそうだ。

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翌日は筋肉痛と膝痛、足裏のマメで悶絶

一晩経って、両足の筋肉痛と左膝の痛みが激しい。足の甲とかふくらはぎとか、今まで故障した経験のある個所が、一気に全部ぶり返したような感覚だ。意外と背筋がこわばっていて、体幹も駆使したのだと思う。家の廊下を歩くのも階段の上り下りも不便で、要介護のシミュレーションだ。

シューズも履き慣らしが足りなかったためか、右足母指球に大きなマメができていた。レース前半から足裏でじゃぶじゃぶいっている感覚があったが、関節の痛みに比べれば足裏のマメや出血など、たいしたものではない。10年のランナー人生で、爪が黒くなっても別に驚かなくなった。懸念された両足かかとの靴擦れは、大きな絆創膏を貼っていたおかげで無傷だった。

ハイペースで走ったとはいえ、そこは平地のマラソンなので、今年経験したキタタンやハセツネのトレランよりは筋肉痛も穏やかな気がする。レース後に会場で無料マッサージを受けられて、温泉にも入れたのがよかったのだろう。5,000人規模のマラソン大会だと、そういう付随サービスも混まずに利用できたのでうれしかった。

翌日、風呂に入った時に、脚に貼ってもらったシール型の鍼が不注意で取れてしまい、タオルに引っかかったまま体を洗ったら腕に派手な傷がついてしまった。シールをよく見ると、2mmくらいの結構鋭利な鍼が取り付けられている。幸い、顔とか目立つところでなくてよかたが、シール鍼で治療してもらった後は注意が必要だ。

不本意なレース展開だったが、念願のサブスリー達成

大田原マラソンを振り返って、逆風がきつく終盤だれまくり、いまいちなレース展開だったが、目標の自己ベスト更新は果たせた。10年以上前、ダイエット目的のジョギングを始めた時は、自分がマラソンを走るとも思わず、サブ4やサブ3なんて概念があるのも知らなかったが、コツコツ練習を続け工夫を重ねて、ここまでやって来られた。

トライアスロンでも最初は遠い目標に思われたロングディスタンスを数年かかって完走できたように、初心者でも練習を続ければ年齢に関係なく記録更新していけるのが、持久スポーツの醍醐味だと思う。

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